熊本保健科学大学


研究

Journal of Pain Researchに論文が掲載されました。

  • 2018年10月25日
  • 研究のお知らせ

本学大学院保健科学研究科リハビリテーション領域の土井 篤 教授と申 敏哲 准教授そして吉村 惠 元本学大学院教授が、本学理学療法学専攻の4年生(平成27年度:杉田郁弥、倉津貴子、橋口さりや、平成28年度:坂崎純太郎、笠江省太、西村啓佑、佐藤友志、德永千佳人)と共に卒業研究で行った感覚閾値変化に関する研究がJournal of Pain Research に平成30年828日受理され、Dove Medical Pressから出版されました。

https://doi.org/10.2147/JPR.S162379


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【日本語タイトル】
「一側下肢への振動刺激はヒトとマウスの両種において両側の感覚閾値を上昇させる」

【日本語訳による抄録内容】
[目的] この研究は電気刺激(マウスに対しては5Hz, 50Hz, 250Hz, 2000Hzの刺激周波数, ヒトに対しては50Hzによる刺激周波数)による新規の定量的感覚閾値評価を用いて、一側下肢への振動刺激が両側下肢の感覚閾値に及ぼす影響を探るものです。
[対象と方法] 本研究では7週令のマウス26匹と32名の健常成人を用い、共に右側足部の感覚閾値(前述)を測定しました。さらに右側及び左側の足部に対して2分間(マウス)、2分間及び5分間(健常人)の振動刺激を与え、その前後で右側足部における感覚閾値を刺激後15分間まで測定しました。
[結果] マウスにおいて、2分間の右下肢への振動刺激は右下肢に5Hz電気刺激による感覚閾値上昇を、2分間の左下肢への振動刺激は右下肢に50Hz電気刺激による感覚閾値上昇が見られました(p<0.05)。ヒトにおいては2分間の左右下肢への振動刺激によって右下肢の感覚閾値上昇は観察されませんでしたが、5分間の左右下肢への振動刺激によって右側下肢に50Hz電気刺激による感覚閾値上昇が観察されました(p<0.05)。またヒトに対する5分間の右下肢への振動刺激によって振動刺激部位近傍の皮膚温は刺激前後で変化がありませんでした。
[考察] 5Hz電気刺激による感覚閾値はC線維を、50Hz電気刺激による感覚閾値はAδ線維を活性化すると報告されています。それ故、今回のマウスの結果は同側刺激がC線維による作用、対側刺激はAδ線維による作用、またヒトの場合は同側及び対側共Aδ線維による作用と考えられます。しかしながら、ヒトの場合は同側刺激によりAδ線維の閾値上昇が起こったにも関わらず、何故マウスの場合はAδ線維の閾値上昇が起こらずC線維の閾値上昇が起こったのかについては、今回の実験からは明らかにすることができませんでした。
[結論] 今回の結果から、対側の感覚閾値の上昇は中枢神経の関与、同側の感覚閾値上昇は少なくとも末梢部の皮膚温変化以外の要因であると示唆されました。

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