KUMAHO Web Column

看護学科

女性の一生に寄り添う母性看護

2021.03.26

母性看護の対象はだれ? 妊婦さん? おかあさん? 赤ちゃん?

 みなさんは、「母性看護」という言葉からどんなことを想像しますか? 妊娠中の女性(妊婦)や出産中の女性(産婦)、出産を終えた女性(褥婦)やその赤ちゃん(新生児)のお世話をする、妊婦健診や出産の介助、おかあさんに授乳や沐浴(赤ちゃんのお風呂の入れ方)などの育児についての指導を行うなど……かな?
 以前(わたしが看護学生の頃)は確かにそうでした。でも、今は違います!

女性の一生は魅力的💛でも大変💦

 女性の一生は、その特徴から、小児期・思春期・成熟期・更年期・老年期に分けられます。それぞれの期(ライフステージ)には、身体的・精神心理的・社会的特徴があります。たとえば、思春期には初潮(専門用語では初経)、成熟期には結婚や妊娠・出産、更年期には閉経などです。また、それらの特徴(変化)により、それまでに経験したことのない問題が生じやすくなります。たとえば、月経困難症(ひどい生理痛で学校や会社に行けないなど)や予期しない妊娠(高校生や結婚前の妊娠など)、性感染症、不妊(望んでも妊娠や出産ができない)、産後うつ病、更年期障害、骨粗鬆症などです。さらに、女性の生き方、ライフスタイルも多様化し、結婚や妊娠・出産を選択しない女性も増えています。一方、妊娠・出産・育児を強く望みながらも、願いが叶わず苦しんでいる女性(パートナーとその家族)もいます。

専門的な知識と技術で女性の一生を支える看護-母性看護学-

 母性看護学では、女性の一生の中でも、最もダイナックに変化する妊娠期・分娩期・産褥期・新生児期における対象の特性やニーズ・必要な看護を中心に学習します。妊娠中の女性(妊婦)の身体(子宮)の中には赤ちゃん(胎児)がいますので、妊婦さんとお腹の赤ちゃんが妊娠期を順調に過ごし、無事に出産を終え、その後も健やかに過ごすためには、当然、赤ちゃんとそのおとうさん、お兄ちゃんやおばあちゃんがいればお兄ちゃんやおばあちゃんも看護の対象となります。また、将来、妊娠や出産の可能性のある思春期(小学校高学年から高校生)や更年期にある人たちも母性看護の対象です。すべての女性とその家族が生涯にわたって健康な生活が送れるよう、専門的な知識と技術で支援していくことが母性看護です。

看護学科 教授 羽田野 花美

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