KUMAHO Web Column

看護学科

在宅看護~普通の生活を支える力~

2021.03.26

暮らしを支える

 元気な皆さんにとっては、「家で暮らす」ことは普通のこと。
しかし、病気や障害をもつ人々にとって、「家で暮らす」ことが普通のことであるためには、多くの人の少しずつのちからが必要になります。
在宅看護は、その「普通の生活」を支えるたくさんのちからの中の1つ❣
看護なので医療面で支えることはもちろん、医療だけでなく、介護や食事の宅配や福祉タクシー等のいろいろな人達と協力して、病気や障害を持つ人やその家族が、落ち着ける場所で安全に、ご飯を食べたりお風呂に入ったりパソコンを使って動画やライヴを見たり仕事をしたりする「普通の生活」を続けられるように、相談しながら支援していきます。

どうやったらわかるの?

 在宅看護ではその人が大切にしていることを大切にしながら、看護の視点で生活を整えていきます。では、その人が大切にしていることはどうやったらわかるのでしょう?
 人は同じように見えても、それぞれが異なる生活スタイルや生活習慣をもっています。
それは、これまで生きてきた中で培われた価値観に基づいて作られてきたものです。例えば右の絵を見てみましょう。この女の子は点滴をしたり機械で呼吸を助けたりしながら、自分の家で暮らしています。今の自分の置かれた環境の中で、家族やTVがよく見えるなどといった理由で自分にとって好ましい場所にベッドを置く、一番好きなぬいぐるみと一緒に過ごすなど、その人の生活環境を見ることでその人の大切にしていることを知ることもできるのです。
 また、生活環境を見ることは同時に生活の中での危険を予測することでもあります。もし、部屋が乾燥していたら、痰などの分泌物が出にくくなって、機械で呼吸を助けている女の子が肺炎などを起こしてしまう危険性が大きくなるでしょう。家で治療を受けている女の子が、お父さんやお母さんや兄弟たちと、落ち着ける場所で、体調を崩さずに暮らしていけるような視点と実際のケアを、一緒に学んで、一緒に考えていきませんか?
 在宅看護では、地域の家や施設で暮らす子どもから高齢者までいろいろな年代の方の健康と生活の支援を学びます。

看護学科 准教授 山口 裕子

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