大学情報 生成AIに関する取り組み data

熊本保健科学大学における学生の生成AIの利用について

昨今、ChatGPTなどの生成AI(インターネット上の膨大なデータから文章や画像等を生成するAI)が急速に普及しています。生成AIの利用は、利便性や生産性の向上をもたらす可能性を秘めている一方、他者の権利を侵害するリスクや生成された情報の信頼性の問題が指摘されており、国内外でさまざまな議論が行われています。
熊本保健科学大学で学ぶみなさんは、生成AIの利用について以下の点に留意してください。

1 試験・レポート等での取扱いについて

試験やレポート等において、生成AIが作成した文章を自らの成果物として使用し提出することは不正行為に該当しますので控えてください。生成AIが作成した情報には他人の著作物の内容がそのまま含まれていることもあるため、意図せずに盗用や剽窃を行ってしまう可能性もあります。

2 授業での利用について

授業における生成AIの利用については、この文書に示す留意点をよく理解したうえで当面は各教員の指示に従って行ってください。

3 情報流出・情報漏洩のリスクについて

個人情報や未発表の研究成果などは、厳重な管理が必要です。こうした情報を生成AIに対する質問や指示として入力すれば、それが他の誰かの質問の回答に使用されるなど、情報の流出や漏洩に繋がる可能性があります。第三者に公開できない情報は絶対に入力しないでください。

4 誤情報の可能性について

生成AIにより作成された情報には誤った内容が含まれていることもあります。そのため、生成AIが作成した情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報で裏付けるよう、自ら確認することが必要です。
なお、この内容は、今後本学から出される生成AIの利用に関する指針等の文書や国内外の状況等を踏まえ適宜変更・更新する場合があります。

熊本保健科学大学教職員のための生成AIの利活用に関するガイドライン

1.生成 AI をめぐる現状

AIの中で、テキストや画像・動画、音楽等を新たに生み出す高度な技術を持つAIは生成AIと呼ばれ、急速に普及しつつあります。生成AIを活用することはわたしたちの生活の利便性や生産性の向上に繋がる可能性があり、保健医療分野を含め多くの変化をもたらすことが期待されます。しかし、その一方、生成AI及びそれをもとに作られたサービスの利活用に関しては様々なリスクも指摘されており、国際的な枠組みの中で利活用の在り方について検討が進められている状況にあります。このガイドラインはそのような状況下で、本学教職員が教育・研究・業務の中での生成AI及びそれをもとに作られたサービスの利活用に関して特に留意すべき事項をまとめ、現時点における本学の考え方を示しています。なお、生成AIに関しては今後も新たな技術の進歩が見込まれるため、国内外の動向を踏まえながらこのガイドラインは適宜見直していく可能性があります。

2.生成 AI 及びそれをもとに作られたサービス に関する本学の基本的考え方

本学では、生成AI及びそれをもとに作られたサービスの利活用について一律に禁止することは行いません。日々進歩している保健医療分野の学びと同じように、よりよい教育、研究、業務を目指して新たな知識や技術を学びそれを活用していくことは、本学を大きく発展させることに繋がるためです。生成AIに関するリテラシーを身につけ、生成AI及びそれをもとに作られたサービスを適切に利活用するため、以下に示す様々なリスクについての留意点を踏まえてひとりひとりがよく考えて行動してください。

3.全体的な留意点

〇情報漏洩のリスクについて

生成AIに対する質問や指示として入力された情報は、他の誰かの質問の回答に使用される可能性があります。特に個人情報や未発表の研究成果、会議資料のように、厳重な管理が必要な情報を生成AIに対し入力することで情報漏洩に繋がる可能性があります。第三者に公開できない情報は絶対に入力しないでください。

 

〇著作権等の権利侵害のリスクについて

生成AIが出力した情報には他人の著作物の内容に類似していたり、そのまま含まれていたりすることがあります。そのため生成AIが出力した情報を使用し、それを公開することで、意図せずに著作権等の侵害や研究不正に該当する可能性があります。生成AIが出力した情報を利用する場合は、生成AIを利用せずに文書等を作成する場合と同様に、各種権利関係の侵害や研究不正に繋がる可能性がないか十分に確認してください。

 

〇誤情報の可能性について

生成AIにより出力された情報には不正確な情報や誤った内容が含まれていることがあります。そのため、生成AIが作成した情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報による裏付けを行って利用してください。

 

〇各ツールの規約等の確認について

生成AI及びそれをもとに作られたサービスを利用する場合は、このガイドラインに則って利用するとともに、それぞれに定められている規約等を読み、情報の取扱いなどについて十分に確認してください。

4.教育における生成 AI の利活用について

学生による生成AIの利活用に関しては、レポート等の成果物に生成AIの利用を認めるかどうかをそれぞれの講義で示し、利用を認める場合は「3.全体的な留意点」で示したリスクについて説明を行ったうえで利用するよう指示してください。また、生成AIをレポートや課題に用いた場合は、根拠として使用した文献等の出典を明記するのと同じように、どの部分にどの生成AIを用いたのかを明記するよう指導してください。

 

近年の生成AIの飛躍的進歩により、生成AIが出力する文章と人間が書いた文章を見分けることは判定ツールなどを利用しても難しい状況にあり、教員の課題設定や成果物の評価について工夫が必要になります。例えば、レポートの内容について口頭での質疑応答や小テストを行うことで生成AIが出力した文章をそのまま使用しただけになっていないかを確認することができます。また、生成AIが出力した文章に対し、その内容が事実であるのかを資料等を用いて確認するような課題設定を行うことが考えられます。

 

生成AI及びそれをもとに作られたサービスを用いることで、様々な面での効率化を図ることができます。しかし、生成AIの出力には誤情報の可能性もあること、最終的に確認や判断を行うのは人間であることを認識したうえで、出力された情報を鵜呑みにすることなく、教育力の向上に繋がるよう活用してください。

 

〇教員による教育における利活用の例

・文書作成

(例)シラバスや講義資料の作成にあたり、自分の書いた文章を学生にとってよりわか

りやすい表現にする。

(例)特定の事項についての練習問題やアンケート項目についての例を得る。

(例)データ分析の演習を行うために、より現実に近い仮想データを生成する。

・アイデア出し

(例)グループワークのテーマ設定や具体的な進め方についてのアイデアを得る。

(例)あるトピックに対する講義資料の作成にあたり項目設定の例を得る。

5.研究における生成 AI の利活用について

上記「3.全体的留意点」において示したように、生成AIが出力した文章をそのまま用いることで、盗用や剽窃などの研究不正に繋がる可能性があります。また、未発表の研究成果をそのまま生成AIの入力として用いることで、情報の漏洩に繋がる可能性があります。研究における生成AIの利活用に関しては、このガイドラインに加え、所属学会や論文投稿先のルールに従ってください。

 

〇研究における利活用の例

・文書作成

(例)論文や申請書中の文章をよりわかりやすい表現にする。

(例)ある程度まとまった内容の文章を要約する。

(例)他言語で書かれた文章の翻訳や校正を行う。

・プログラミング

(例)特定の内容を実行するためのプログラムコードを生成させる。

(例)目的に応じたExcelの関数や数式を生成させる。

(例)プログラムコードに誤りがないか、あるいはより効率的にできないかを確認する。

・アイデア出し

(例)得られたデータに対する可視化(グラフ化)の例を得る。

6. 業務における生成 AI の利活用について

上記「3.全体的留意点」において示したように、個人情報や会議資料等厳重な管理が必要な情報を入力することで情報の流出や漏洩に繋がる可能性があります。生成AI及びそれをもとに作られたサービスの利活用に際しては規約等をよく読み、十分に留意して行ってください。また、生成AIの利活用に際しては、生成AIの出力には誤情報の可能性もあること、最終的に確認や判断を行うのは人間であることを認識したうえで、業務の効率化や質の向上のために活用してください。

 

〇業務における利活用の例

・文書作成

(例)(機密にすべき情報を除いたうえで)議事録等の報告資料を作成する。

(例)規程の文章を作成したり、同一の形式に統一したりする。

(例)ある程度まとまった内容の文章を要約する。

(例)他言語で書かれた文章の翻訳や校正を行う。

(例)問合せに対して自動応答を行う。

・プログラミング

(例)目的に応じたExcelの関数や数式を生成させる。

(例)プログラムコードに誤りがないか、あるいはより効率的にできないかを確認する。

・アイデア出し4

(例)特定の問題に対する論点の洗い出しを行う。

(例)研修のテーマ設定や具体的な進め方についてのアイデアを得る。

7.終わりに

生成AI及びそれをもとに作られたサービスの利活用は今まさに世界中で拡大している状況です。生成AIを効果的に利用し、本学教職員が教育・研究・業務に活かしていくためには、活用するためのスキルや生成AIに関するリテラシーが重要となります。教職員ひとりひとりがこのガイドラインに示したリスク等に十分留意し、適切な活用を心がけてください。

 

令和6年4月1日制定