KUMAHO Web Column

リハビリテーション学科

理学療法とスポーツ

2021.03.15

スポーツにおける理学療法士の役割

 スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものにする世界共通の文化の一つです。また、競技スポーツに打ち込むアスリートのひたむきな姿は、我々に夢や感動を与えるなど、活力ある健全な社会の形成にも貢献するものです。このような特色を持つスポーツにおいて、理学療法士は怪我をした選手の復帰に向けたアスレティックリハビリテーションで中心的な役割を担ってきました。最近では,怪我の再発予防や競技力向上に加え,障がい者スポーツにおける競技性の向上とスポーツ振興の観点から貢献する必要性が高まっています。

理学療法士とスポーツ動作

 異なるスポーツであっても、「身体を使う(種目によっては道具を使う)」ことに変わりはありません。ここで、「動きのトレーニング」とは効率の良い動きを追求する過程の事であり、その結果身体自体も変化していくことを意味します。このように、「身体を使うこと」が人間の可能性を生成するエンジンと考え、その「変化」を引き出していくのが理学療法士の仕事の一つなのです。理学療法士が「動き」のスペシャリストと呼ばれる理由はここにあり、3次元自動動作分析装置などで動作の特徴を分析し、力学的観点から関節や筋肉の動きを探っていきます。

心・技・体

 スポーツ動作を「技」とするなら、筋力(上肢・下肢・体幹)・呼吸循環機能(酸素摂取量)などは「体」、心理状態(自己効力感)は「心」として考えることができます。理学療法士はこれらの分析を行い、得られた結果を様々な手法(AI・機械学習・シミュレーションなど)により分析・予測し、選手自身やコーチにフィードバックすることで、最適なトレーニング方法の開発などに役立ててもらいます。このことは、スポーツ医科学を学ぶ理学療法士の新たな活躍の場であると言えるでしょう。この領域は今後さらなる発展を見せると考えられています。

今後の役割

 理学療法士とスポーツトレーナーの違いの一つは、クリニックや病院における手術などの治療場面から関わることができるか否かです。理学療法士は、選手が怪我をした直後から競技復帰まで支援することができる特殊な職種であると考えることができます。また、靴やユニフォーム、サポーターやトレーニング機器の開発など様々な場面における活躍が期待されています。

リハビリテーション学科 理学療法学専攻
准教授 松原誠仁

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