KUMAHO Web Column

リハビリテーション学科

“ドラえもん”のようにそばで支える専門職

2021.03.15

 将来の進路を考える若者が「作業療法士(OT)」という職業を知っていることのほうがレア(稀)なことです。作業療法士(OT)は、理学療法士(PT)・言語聴覚士(ST)と同様リハビリテーションにおける専門職であり、国家資格の医療職です。

 なかでも特に、作業療法士(OT)の名前を聞いてもイメージ化することが難しく、実際の仕事を説明するにしても守備範囲が広い職業であるがゆえに職業の魅力が伝わりにくいのも事実です。

 そこで職業イメージを知る一つの手段として、身近なツールであるSNSを積極的に利用して“作業療法士(OT)”を検索していただくことをお勧めします。出来れば、YouTubeで本学のドキュメンタリー映像「イルカと泳いだ少女」(熊保大OTスペシャルムービー)をご覧いただきOTをイメージするきっかけにしてもらうと幸いです。

 OTは、病気やケガ、障がいを直接的に治療するものではありません。例えば、利き腕の右手が病気やケガで使えなくなったとしても左手で字を書いたり、お箸が使えるように利き手を交換したりする訓練を行います。また片手でトイレ、入浴、着替え、調理、掃除など日常の生活動作ができるように実際の場面・環境を設定して動作訓練をしたり、困難になった動作・運動を助ける“便利な福祉用具”も導入し、使用訓練を行います。あるいは、杖歩行や車いす生活になったとしても自宅で生活できるように手すりや段差を解消する住宅改修プランを考案・指導します。また、子どもの発達障がい(自閉症児、学習障がい児など)に対する治療や保護者の育児サポート、うつ、気分障がい、不登校や思春期の悩みなどの精神障がいに対しても治療・サポートを行います。

 具体的にOTが活躍している場所は、医療機関(病院、クリニックなど)、老人保健施設、デイサービス、介護施設、児童発達支援センター、行政機関(県・市町村、保健センター)などが多数を占めます。最近では、学校、保育園、民間企業(起業・ビジネスコンサルト等)などでも活躍しており職域を開拓・拡大しながら人々の「こころ」と「からだ」の健康を支えています。

 このようにOTは、患者さんが心や体にどのような障がいを抱えていても個々の患者さんに寄り添い、“これから、やりたいこと”を一緒に叶えていく・・・まるで“ドラえもん”のような専門職なのです。

身体に障がいがある人への手すりの設置・動作の指導
発達に障がいがある子どもへの感覚・運動遊びを用いた治療

リハビリテーション学科 生活機能療法学専攻
准教授 益滿 美寿

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