KUMAHO Web Column

リハビリテーション学科

作業療法士は、こころと身体に障害を持つ方々にじっくりと関わる仕事です。

2021.03.01

 作業療法士は、国家資格の医療職です。

 “人間”に興味のある方、“家族”や“社会”に関心のある方、誰かの人生を応援したいと思っている方、ぜひ作業療法士を目指してください。

 作業療法士が行う作業療法では、病気や障害を持つ方々ひとりひとりの生活習慣や人生の目標を尊重し、それぞれに応じた作業活動を用いて、その方が「なりたい自分」「望む人生」に近づけるように関わっていきます。

 作業療法では、対象者の違いによって、身体障害領域、精神障害領域、発達障害領域、老年期障害領域に分けられます。しかし、こころと身体は分けられるものではありません。こころが病気になると身体活動も低下しますし、身体に不調があると、抑うつ的になったり、怒りっぽくなったりします。ですから、身体の症状に対する作業療法を行いながらも、対象者の気分や感情にもアプローチをしていきますし、その逆も行います。

 作業療法士は対象者とよく会話をします。特に「好きなこと」や「楽しいと感じること」を聞くことで、対象者の“好み”や“価値観”について知り、それらを作業療法に活かしていきます。

 また、「退院後にどのような生活をしたいか」についても話し合い、対象者が希望する生活が実現できるように、「退院後に必要な作業」を練習してもらいます。日々の生活で行う食事や更衣、入浴、トイレ動作から、料理や洗濯、掃除、さらには趣味活動や仕事に必要な動作など、対象者一人一人に合わせて練習内容を決めていきます。

 治療をしても残念ながら、障害が残ってしまう場合もあります。障害によって「やりたいこと」が病前のように出来なくなった時は、病前とは違うやり方を提案したり、障害を補う道具を紹介することもあります。

 作業療法士は対象者と話し合いながら、いろいろな方法を用いて、生活や人生の「〇〇ができない」を「できる」に近づけていきます。

リハビリテーション学科 生活機能療法学専攻
准教授 吉田 真理子

一覧へ戻る

Rehabilitation リハビリテーション学科