KUMAHO Web Column

リハビリテーション学科

「話す」「聴く」「食べる」生きる喜びに向かい合うリハビリ専門家「言語聴覚士」

2021.03.01

 言語聴覚士は、「話すこと」や「聞くこと」などのコミュニケーションに障害を持った人や「食べること」に障害を持った人に対して、検査やリハビリテーションを繰り返しながら、その回復をうながし、見守っていくことを仕事とします。「耳がよく聞こえない」「聞こえても発音ができない」「言葉が理解できない」といった障害は先天的なものだけでなく、病気やケガなど後天的なことが原因となる場合も多くあります。そこから生じた声や発音の障害、ことばの発達の遅れ、失語症、自閉症など、さまざまな障害を持つ人を対象としているため、子どもから成人、高齢者まで幅広い年齢層の方への支援を行います。このような状況におかれた人たちは、話したくても言葉にできない、相手の話すことがわからない、おいしものを安全に食べることができないなど、常に心の中に大変なもどかしさを抱えています。そのため接するときには、心理学的な知識や技術も必要となります。加えて、細かな心配りや、観察力、記憶力、相手が表現したいことをくみとれる力などが求められます。

 言語聴覚士は国家資格であり、国家試験を受験するためには、全国にある言語聴覚士養成所である大学や専門学校を卒業するなどの方法があります。また活躍の場は病院や、福祉施設、自治体、教育機関などのほか、最近では在宅・訪問診療でリハビリテーションにあたる場合も増えてきています。以下、その1では主に成人の代表的な対象となる障害と言語聴覚士の役割を説明します。

摂食・嚥下

食べ物の飲み込みがうまくいかず、口からこぼれてしまったり、むせてしまったりする人の原因を調べ、対処を行います。通常、飲み込みは人間の反射によって行われますが、脳の障害などが起きるとうまくできなくなります。この場合は、反射を高めるための訓練を行います。

言語・認知

大人の言語・認知障害は脳血管障害、交通事故などが原因で起きます。これらの理由で、言葉にできない、表現できないということが起こります。そこで患者さんが自分の思いを言葉や様々な方法で表現できるようにプログラムを組み立て、機能訓練やリハビリなどを行います。

発声・発語

構音障害・音声障害といったものが代表的です。障害の内容を観察し、原因を加味して発話の訓練を行い、社会生活への復帰を支援します。

聴覚

聴覚障害は生まれつきの場合と、事故や高齢化などで後天的に起こる場合があります。言語聴覚士は聴覚検査を通して患者の障害について調べ、支援をします。また、補聴器や人工内耳の調整などを行うこともあります。

リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻
教授 大塚 裕一

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