熊保大 摂食嚥下研究チームの活動について
2021.03.26
摂食嚥下とは?
毎日、皆さんは飲んだり食べたりして食生活を楽しんでいることと思います。摂食(せっしょく)とは食べることのすべての過程を示します。具体的には➀食物として認知、②口の中に食物を取り込む、③噛み砕く(咀嚼:そしゃく)、④飲み込む(嚥下:えんげ)、⑤食物を胃の中へ送り込む、一連の過程です。特に食物を「ゴクン」と飲み込む過程を嚥下とよび、俗に喉仏(のどぼとけ)が食物を「ゴクン」と同時に上方へ移動することで確認することができます。咀嚼や嚥下などの食べる機能の障害は、摂食嚥下障害とよばれます。
摂食嚥下障害によって食生活を含む生活全般に支障がある方々に対して、再び摂食の楽しさを取り戻し、安心安全に摂食できる対策が求められています。病院では、医師・歯科医師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士・看護師・介護士・歯科衛生士・栄養士・臨床検査技師などの多職種が連携して治療を行う、チーム医療を進めています。
熊保大 摂食嚥下研究チームの発足と活動内容
熊保大 摂食嚥下研究チームの活動をご紹介いたします。当チームは、言語聴覚学専攻・理学療法学専攻・生活機能療法学専攻のリハビリテーション学科、医学検査学科、看護学科の各学科教員からなる8名で構成されています。これまで、摂食嚥下機能に及ぼす要因分析、姿勢・舌マッサージが嚥下機能に及ぼす影響、口腔ケア用スポンジブラシを用いた口腔内刺激による即時的な口腔機能効果、摂食嚥下に適したユニバーサルデザインパンの特性解明などの研究を進めてきました。その他、嚥下訓練機器や嚥下用介護用品の研究開発などにも重点を置いています。
3学科の教員で構成されているため、「摂食嚥下」のテーマに絞って職種間の補完によってより発展的な研究を推進することができます。特に、卒業研究では学科の垣根を越えた学生同士の共同研究によって、チーム医療の礎を多少なりとも経験できていると思います。また、大学院では修士論文のサポートおよび授業科目の摂食嚥下リハビリテーション特論によって、院生のキャリア教育にも貢献していると思います。
私達の研究グループは、多職種が連携して研究に取り組む環境および楽しみを多くの教員や学生と共有しながら、これからも研究を進めていきます。
医学検査学科 教授 古閑 公治
(摂食嚥下研究チーム 代表)